国税庁が課税関係のQ&Aを公表
コインチェックで仮想通貨のNEMが約580億円もの不正送金された事件は、世間に衝撃を与えました。そして、今般、このコインチェックで発生した仮想通貨NEMの不正送金に係る補償金の課税関係について、国税庁がタックスアンサーを公表しました。
国税庁の発表内容
国税庁はQ&A形式のタックスアンサーで下記の通り公表をしています。
Question
仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けました。この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっています。この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当しますか。
Answer
一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされています。ご質問の課税関係については、顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます。したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります。なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、雑所得の金額の計算上、損失が生じることになりますので、その場合には、その損失を他の雑所得の金額と通算することができます。
出典:国税庁「No.1525 仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」
仮想通貨の取得価額との比較
要点をまとめると、仮想通貨と取得価額との比較により、2パターンに分かれます。
はじめに、補償金が仮想通貨の取得価額を上回る場合は、その上回る部分が課税対象となります。原則として雑所得となります。
次に、補償金が仮想通貨NEMの取得価額を下回る場合は、その下回る部分が雑所得の計算上、損失が生じていることとなりますので、その損失を他の雑所得と通算することができます。