監査役の職務とは

監査役とは、取締役や会計参与など、会社法で規定された会社の機関の一つとなります。

取締役の職務執行を監督することが主な役割となっており、監査役の職務は、会計監査と業務監査があります。

 

会計監査

会社が公表する決算書など、会計基準等に準拠して適切に作成されているかを監査します。その結果を報告することで、計算書類の信頼性が向上し、株主の利益を守ることに資すると言えるでしょう。

 

業務監査

取締役が行う職務が法令を遵守して、適切に行われているかをチェックします。その結果を報告することで、会社の不祥事等を防ぐことに寄与します。

 

会社法335条<参考>

監査役については、会社法上、下記の通り規定されています。

(監査役の資格等)
第335条

  1. 第331条第1項及び第2項の規定は、監査役について準用する。

  2. 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。

  3. 監査役会設置会社においては、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。

 

顧問税理士と監査役の兼任

監査役は、独立した立場で取締役の業務執行を監査する職務になります。

顧問税理士と監査役を兼任することは、法律上明確な禁止規定はないものの、下記の観点から実務上望ましくないと考えられます。

  1. 顧問税理士は法人と委任契約があり、法人から報酬を得て決算書・申告書の作成に関与している以上、
    会社側の人間という位置づけに近いため、監査役の独立性が担保されない。
    (監査役と兼任が禁止されている「使用人」に該当する可能性がある。)
  2. 一般的に上記の懸念があったため、平成18年の会社法制定時に、会計参与という制度ができた。

(「会計参与」は、顧問税理士の就任が想定されている。)

 

顧問税理士が監査役を兼務する場合、監査役機能が十分に機能しない可能性が考えられ、会社のガバナンス上、望ましい機関設計とは言い難いと言えるでしょう。

 

当事務所では、監査役に就任する場合、税理士顧問サービスの契約を解除した上で就任する形をとらせていただいております。