福岡で民泊を営む方へ
福岡市の天神や博多駅周辺を歩いていると、中国人、韓国人をはじめ、多くの外国人観光客を目にします。大型クルーズ船で博多港に来る観光客や福岡空港、北九州空港経由で来る外国人、そして新幹線などで遊びに来る国内の観光客などで福岡は賑わっています。最近の観光客は、ホテルや旅館を利用する他、「民泊」を利用しています。
そのような中、平成30年6月15日から「住宅宿泊事業法」が施行され、民泊の健全な運営ルールが設定されました。また、ホテル不足が叫ばれる福岡市では「小規模宿泊施設(民泊)スタートアップガイド」も作成され、民泊の運営ルールが整備されつつあります。
世の中に普及・定着しつつある民泊ですが、民泊の確定申告はどうすれば良いでしょうか。今回は国税庁が発表したFAQに基づき解説いたします。
国税庁が民泊の課税関係FAQを公表
国税庁では、平成30年6月13日付で「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」(以下、「民泊課税のFAQ」と呼びます。)を公表しました。この資料には、民泊をしている個人が確定申告をする際に気を付けるべき課税関係が示されています。こちらの資料は、民泊新法が施行される2日前という絶妙なタイミングでの公表になります。
まずは、下記のFAQをご一読ください。
国税庁ウェブサイト(個人課税課、資産課税課、消費税室)
住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)
自己の住宅を民泊利用した場合の所得
国税庁の資料によると、自宅を民泊利用したことで得られる所得については、原則として「雑所得」に区分されるとの見解が示されています。
すでに民泊をされている方はご存知であったかと思いますが、今回、国税庁の正式な見解として「雑所得」としての位置づけが確認されました。
問 自己が居住する住宅を利用して住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)を行っている場合、これにより得た所得は、どの所得に区分されますか。
答 自己が居住する住宅を利用して住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。
出典:「民泊課税のFAQ」1 所得区分
民泊は、部屋を貸すだけでなく、ベッドや設備、水道、電気、ガスなども含めてサービスとして提供されるため、不動産所得には該当しないといったことが述べられています。
経費にできる内容は?
では、気になる経費の範囲です。民泊で必要経費として落とせる範囲はどこまでといったことも「民泊課税のFAQ」には記載されています。
答 住宅宿泊事業による所得金額は、住宅宿泊事業に係る収入金額から必要経費を控除することで算出します。必要経費に算入できる費用は、①その収入金額を得るため直接に要した費用及び②その年における販売費、一般管理費その他住宅宿泊事業による所得を生ずべき業務について生じた費用です。
具体例は、次のとおりです。
- 住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料
- 住宅宿泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費
- 水道光熱費
- 通信費
- 非常用照明器具の購入及び設置費用
- 宿泊者用の日用品等購入費
- 住宅宿泊事業に利用している家屋の減価償却費
- 固定資産税
- 住宅宿泊事業用資金の借入金利子
※ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃等は必要経費に算入
できません。出典:「民泊課税のFAQ」2 必要経費の具体例
概ね「そうなるようね。」といった項目が記載されています。ただ、必要経費の具体例が出ているので、上記の経費については安心して経費に落とせますね。
住宅ローン減税や消費税関係もわかる
上記の所得区分や必要経費の見解の他、計算が難しくなる水道代・電気代の家事関連費や建物の減価償却費の考え方も示されているので、とても参考になります。
また、住宅ローン減税を使って購入した物件で民泊をしているケースや民泊をしている住宅を売却するケース、消費税についての課税関係についても述べられています。
民泊をされている福岡県民の方は是非、ご参照ください。