暗号資産取引の税負担軽減に向けた要望
暗号資産(仮想通貨)取引の関連団体が相次いで税制改正の要望を政府に提出しました。
これらの暗号資産関連団体は、日本国内での暗号資産取引の税負担を軽減し、より健全な市場環境を構築するための取り組みを強化しています。
要望内容は概ね一致しており、主に暗号資産の取引に対する課税の引き下げを求めるものです。
提出された要望書の内容
要望書の提出
具体的には、日本ブロックチェーン協会(JBA)は7月中旬に要望書を政府に提出し、続いて日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が7月末に共同で要望書を提出しました。この3団体は、暗号資産取引のさらなる拡大とビジネス環境の整備を求めています。
現行の税制とその問題点
現行の税制では、暗号資産取引で得た利益は「雑所得」として扱われ、5~45%の7段階の所得税累進課税が適用されます。
例えば、課税所得が4000万円以上の場合、最高税率の45%が適用されることになります。
この税率は株式など他の金融商品に対する一律20%の課税と比べて非常に高いため、多くの投資家が暗号資産市場への参入を控える要因となっています。
要望された税制改正の具体的内容
20%の申告分離課税と損失繰越控除の導入
このため、3団体は暗号資産取引の利益に対する課税を、株式等と同様に20%の申告分離課税に変更するよう要望しています。
さらに、株式取引と同じく3年間の損失繰越控除の導入も提案しています。
これにより、投資家は暗号資産取引での損失を翌年以降に繰り越して、将来の利益と相殺することができるようになります。
相続税の負担軽減と「取得加算の特例」の適用
また、暗号資産の相続税についても改正が求められています。
現行制度では、相続した暗号資産を売却した際に相続税と所得税の負担が重くなることがあります。
これに対し、3団体は「取得加算の特例」の対象に暗号資産を含めることを提案しています。
この特例は、相続後3年10カ月以内に相続資産を売却した場合、相続額の一部を取得費に加えることで税負担を軽減する措置です。
暗号資産同士の交換時の課税撤廃と合算課税の導入
さらに、暗号資産同士の交換に対する課税の撤廃や、法定通貨に交換した時点での合算課税の導入も提案されています。
これにより、暗号資産取引がよりシンプルになり、投資家の負担を軽減することが期待されています。
今後の展望と注目点
暗号資産に関する税制改革の議論は、今後の市場の発展に大きな影響を与える可能性があります。
暗号資産の利用拡大とその関連ビジネスの成長を促進するために、税制の見直しが不可欠であるとされています。
現在の税制が暗号資産市場の成長を妨げる要因となっているため、これらの団体の要望がどのように受け入れられるか、政府の動向に注目が集まっています。
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