仮想通貨の確定申告

確定申告書の記載

前回の仮想通貨取引の所得計算に続き、「仮想通貨の確定申告」シリーズの最後のテーマとして申告書の書き方を取り上げます。今回は仮想通貨の利益に関する「確定申告書への記載方法」を中心に説明していきたいと思います。

 

確定申告書・第一表

仮想通貨の利益計算ができたら、最後に、確定申告書を作成しておしまいです。確定申告書の用紙は、税務署でも配布していますし、国税庁のホームページからもダウンロードすることもできます。

お勤めされている方の場合、職場の年末調整があるので、実際に確定申告書を提出したことのある方は多くはないかもしれません。今回は給与所得者を例にとって確定申告書の記載方法を説明します。

記載方法

サラリーマンや公務員等のお務めされている方の場合、こちらの給与所得確定申告書Aという様式を用います。まずは、第1表(1ページ)です。

様式の上部には、納税者の方の個人情報を記載する欄があり、住所、氏名、生年月日、電話番号などの他、マイナンバーを記載する箇所もありますのでご注意下さい。

その下から、収入、所得、税額等を数字で記載する箇所となります。はじめに収入金額を記載するグリーンの欄があります。仮想通貨の利益は原則として「雑所得」となりますので、収入金額等(グリーン)の箇所のうち、仮想通貨の売却等で得た収入額を「雑(その他)」のウ欄に記入します。

実は雑所得は2種類あって、公的年金も雑所得に分類されるため、仮想通貨の利益は、その他の方に記載してください。

次に所得(利益)部分を記載するブルーの欄があります。ここでは、収入額から取得原価や経費を差し引いた所得額を所得金額(ブルー)のうち、「雑」の②欄に記入します。

そして、所得から差し引かれる金額(レッド)の欄には、各種控除金額を差し引き、右欄の税金の計算(紺色)の計算を行います。

 

確定申告書・第二表

次に第二表(2ページ目)です。第二表には、第一表で記載した内容の明細を記載します。仮想通貨の利益については、「雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」の欄に仮想通貨取引の詳細内容を記載します。

所得の種類には、「雑(その他)」、種目・所得の生ずる場所については、仮想通貨と仮想通貨を用いて所得を発生させた場所(取引所)などを記載します。

 

記載例

以上が、仮想通貨取引に関する確定申告書への記載ポイントです。もちろん、給与所得、不動産所得などがある場合は該当箇所に記載する必要があります。また、生命保険料控除、医療費控除、ふるさと納税などによる寄付金控除がある場合にも所得控除の欄に記載が必要です。

ふるさと納税について注意点ですが、職場でワンストップ特例を利用してふるさと納税の控除を行った方もいらっしゃるかと思います。仮想通貨などで確定申告する場合、改めて寄付金控除の欄でふるさと納税の申告をしないと、ふるさと納税の効果はなくなってしまいますのでご注意ください。

また、確定申告書を提出するだけでなく、納税額がある場合は、当然ながら納税することも必要となります。仮想通貨の所得申告の場合、納税額が予想以上に膨らみやすくなるので、納税資金の準備も心がける必要があります。

 

なお、以上ご説明した仮想通貨部分に関する確定申告に限れば、申告書に添付すべき書類は特にありません。(給与所得者については、源泉徴収票やその他の証明書などの添付は必要)

ただし、仮想通貨取引に関する証憑書類(入出金明細、取引履歴、必要経費の領収書など)は必ず保管しておきましょう。

 

電子申告で確定申告書を送信

上記の確定申告にあたっては、所轄の税務署に紙で提出することも可能ですが、ご自宅のパソコンなどでイータックスによる電子申告を利用すると便利です。

ただし、事前準備として、公的個人認証サービスに基づく電子証明書、ICカードリーダライタが必要となります。

e-tax

 

以上、仮想利益の確定申告に関する概要をシリーズでお伝えしました。いかがでしたでしょうか。仮想通貨の税務については、専門的な知見が必要な場合もあります。お困りでしたら当事務所にご相談下さい。