仮想通貨の利益を確定申告するには

確定申告

国税庁では、ビットコインを使用した時の所得税の取扱いについて原則として雑所得に区分されることを発表していますが、今般、ビットコインなどの仮想通貨に関する所得の計算方法についての具体例を公表しました。

国税庁のウェブサイトでは、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」としてPDFファイルで掲載されています。

(参照元)

 

具体的には、仮想通貨を売却したケース、仮想通貨でモノを購入したケースなど9つのケースを掲載しています。この中には、仮想通貨が分裂したケースやマイニングしたケースなども含まれているため、投資家や一般消費者の方はもちろん、税理士目線からも参考になる情報であると考えられます。

(掲載されている計算方法)

  1. 仮想通貨の売却
  2. 仮想通貨での商品の購入
  3. 仮想通貨と仮想通貨の交換
  4. 仮想通貨の取得価額
  5. 仮想通貨の分裂(分岐)← 要注目
  6. 仮想通貨に関する所得の所得区分
  7. 損失の取扱い
  8. 仮想通貨の証拠金取引
  9. 仮想通貨のマイニング等

 

仮想通貨が分裂した場合にも言及

前回の国税庁の発表で、ビットコインを使用したことによる利益は雑所得に区分されるという原則の見解が示されています。この雑所得という位置づけに基づき、仮想通貨を売却するケース、仮想通貨を決済するケース、仮想通貨同士を交換するケースなどの事例については、とても理解しやすい内容であるかと考えられます。

例えば、ビットコインを売却した場合には、通常の雑所得の計算に準じて、売却価額から取得価額を控除して所得金額を求めるといった計算の流れとなります。

一方、5つ目の事例として、仮想通貨の分裂が掲載されている点が注目に値します。ビットコインはこれまでに何度も分裂しており、今後も様々な仮想通貨が分裂を繰り返すため、参考になるのではないかと考えられます。

国税庁の回答(抜粋)は下記の通りです。

仮想通貨の分裂(分岐)に伴い取得した新たな仮想通貨については、分裂(分岐)時点において取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられます。
したがって、その取得時点では所得が生じず、その新たな仮想通貨を売却又は使用した時点において所得が生じることとなります。なお、その場合の取得価額は0円となります。

また、仮想通貨のマイニングをしている方はそれほど多くないかもしれませんが、上記資料上では9つ目の事例として紹介されていますので、マイニングをされている方はぜひご参考下さい。

 

確定申告における仮想通貨の取扱いが明確化

以上が仮想通貨に関する国税庁の発表内容の概要でした。いかがでしょうか。具体的な事例付きで処理方法が解説されているとともに、仮想通貨の分裂といった最近話題となったケースも含められているため大変参考になります。

また、今回の国税庁の発表により、確定申告でどのように計算すればよいかお悩みの個人の方々には朗報になったのではないでしょうか。

今後、仮想通貨によって生じる利益の税務上の取扱いがさらに明確化されていくことが期待されます。

なお、企業会計における仮想通貨の取扱いについても、平成29年12月中に企業会計基準委員会から公表される予定となっています。

<追記>

平成29年12月6日付で企業会計基準委員会より、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の扱い(案)」が公開されました。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2017/2017-1206.html

 

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