個人所得税の税制改正

昨年12月8日、平成29年度税制改正大綱が発表されています。はじめに、「個人所得課税」について、主要な改正項目につき、概要を下記に記載します。

 

積立型の少額投資NISAの創設

証券投資をされる方はご留意ください。

すでにNISAをご利用いただいている方もイルカと思い舞うが、この制度の具体的な内容としては、簡単いうと、積立投資限度額年間40万円、期間20年とし、その間の配当、譲渡等は非課税(ただし譲渡損はないものとする)ということです。現行のNISAとは選択適用となっています。

 

配偶者控除等の制度見直し

配偶者控除については、合計所得金額1,000万円を超える居住者については、適用できないこととし、居住者の合計所得金額が900万円を超えると38万円<老人配偶者48万円>の控除額が徐々に縮減し、1,000万円超ではゼロになる、3段階で逓減する仕組みです。

 

また、話題を集めた配偶者特別控除ですが、いわゆる、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下でも9段階で逓減しながら控除が受けられますが、上記の居住者の合計所得金額に応じて控除額も変わってきます。

 

例を挙げると、居住者の合計所得金額900万円以下で配偶者の合計所得金額が95万円超100万円以下であれば26万円の控除、となっています。この制度改正は、平成30年分以後の所得税からの適用となっています。

リフォーム減税の拡充

税制改正により、既存住宅(特定の増改築等含む)の耐震改修・省エネ改修に加えて、一定の耐久性向上改修工事を実施した場合、ローンの利用による減税額(税額控除)は最大62.5万円、自己の資金による場合は最大50万円となる措置となります。

 

また、固定資産税(工事翌年度)も3分の2減額になります。
一定の耐久性向上改修工事とは、50万円を超える工事で、「(1)小屋裏、(2)外壁、(3)浴室、脱衣室、(4)土台、軸組等、(5)床下、(6)基礎、(7)地盤に関する劣化対策工事又は給排水管等に関する維持管理・更新を容易にするための工事で、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであることなど、といったことです。

この制度改正は、増改築等をした居住用家屋を平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供した場合に適用となっています。

その他個人課税の分野については、平成29年1月からのセルフメディケーション税制の導入に注目です。

 

資産課税

取引相場のない株式の評価

はじめに、財産評価を適正化していく一つの方策として、類似業種比準方式による株価の算出方法について、

  1. 類似業種の上場会社の株価については、2年間の平均を選択可能に、
  2. 比準要素である、配当金額、利益金額及び簿価純資産価額に連結決算を反映したものとする、
  3. 比準要素のウエイトを「1:1:1」(現行1:3:1)に、
  4. 会社規模の判定基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。

また、株式保有特定会社の判定基準に、新株予約権付社債を加えられます。

 

広大地評価の見直し

面積に応じて比例的に減額する現行の評価方法から、各土地の個性に応じて面積・形状(奥行、不整形)等に基づき評価する方法に見直し、適用要件が明確化されます。

 

相続税、贈与等の納税義務の見直し

相続税等の納税義務の範囲については、相続人等又は被相続人等の住所要件が10年(現行:5年)以内に改正、住所が一時的である外国人同士の相続等については、国外財産を課税対象にしない、日本に住所及び国籍を有しない相続人等が、過去10年以内に日本に住所を有していた被相続人等から相続等により取得した国外財産は課税対象とすることになります。ただし、短期滞在の外国人は除かれます。

 

タワーマンション課税の見直し

マスコミでも話題を集めたタワーマンション課税にも税制改正により見直しがなされます。居住用超高層建築物(タワーマンション)に課す固定資産税については、階層別専有床面積補正率、つまり、1階を100として階が1つ増すごとに39分の10を加えた数値を適用した課税制度に改正されます。